「求職者の能力や適性を見極めた上で常用雇用を考えたい」と、お考えの事業主のみなさまも多いでしょう。
「トライアル雇用助成金 一般トライアルコース」は、一定の「お試し期間」を経て求職者を常用雇用へと移行できる制度です。
本制度を活用すれば、事業主と求職者の双方のミスマッチを防ぐことができるので、社員定着率の向上が期待できます。
※新型コロナウイルスの影響により休業した場合、特例的にトライアル雇用期間を変更できるようになりました。
詳しくは、下記の「トライアル雇用期間の特例に関して」をご覧ください。
なお、本コラムは「トライアル雇用助成金 一般トライアルコース」の概要を書いています。
この記事の目次
1.「トライアル雇用助成金 一般トライアルコース」とは
「トライアル雇用助成金 一般トライアルコース」とは、職業経験の不足等から就職が困難な求職者を原則3か月間試行雇用することによって、早期就職の実現や雇用機会の創出を目的として作られた制度です。
労働者の適性を確認した上で常用雇用へ移行できるため、双方のミスマッチを避けられます。
本制度の要件を満たす事業主には、対象となる求職者1人当たり月額最大4万円(最長3か月間)の助成金が支給されます。
2. 支給対象となる事業主
次の(1)~(5)は支援対象となる事業主の主な要件です。
※詳しい要件については厚生労働省のHPをご参照ください。
- (1)ハローワーク、地方運輸局または職業紹介事業者(以下「ハローワーク・紹介事業者等」)のトライアル雇用求人に係る紹介により、対象者をトライアル雇用(国、地方公共団体、特定独立行政法人、特定地方独立行政法人から受けている補助金、委託費等から支出した人件費により行ったトライアル雇用を除く)した事業主
- (2)トライアル雇用労働者に係る雇用保険被保険者資格取得の届出を行った事業主
- (3)トライアル雇用労働者に対して、トライアル雇用期間中に支払うべき賃金(時間外手当、休日手当等を含む)を支払った事業主
- (4)トライアル雇用を行った事業所において、労働基準法に規定する労働者名簿、賃金台帳等を整備・保管している事業主
- (5)雇用保険適用事業所の事業主
3.支援対象となる求職者
次の(1)~(5)いずれかの要件を満たし、紹介日にトライアル雇用を希望した求職者が本制度の対象となります。
- (1)紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
- (2)紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
- (3)妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
- (4)55歳未満で、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている
- (5)就職の援助を行うに当たって特別な配慮を要する
※特別な配慮を要する方として、生活保護受給者、母子家庭の母等が挙げられます。
4.助成額
本助成金の支給額は、対象者1人につき月額4万円(最長3か月間)です。
対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は、1人につき月額5万円となります。
ただし、次の(1)(2)である場合、その月分の月額は、それぞれに示す期間中に実際に就労した日数に基づいて、厚生労働省が定めた算出方法によって計算した額となります。
- (1)支給対象者が途中で離職する等、厚生労働省が定める一定の条件に当てはまり、トライアル雇用に係る雇用期間が1か月に満たない月がある場合
- (2)支給対象者本人の都合による休暇またはトライアル雇用事業主の都合による休業があった場合
※(1)の詳しい条件については厚生労働省のHPをご参照ください。
算出方法
支給対象期間中のある月において、支給対象者が就労を予定していた日数に対する実際に就労した日数の割合(A)が次表の左欄の場合、当該月の月額は右欄になります。
A =(支給対象者が1か月間に実際に就労した日数)/(支給対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数)
- 【母子家庭の母等又は父子家庭の父以外の場合】
割合 | 月額 |
---|---|
A≧75%
| 4万円 |
75%>A≧50% | 3万円 |
50%>A≧25% | 2万円 |
25%>A>0% | 1万円 |
A=0% | 0円 |
- 【母子家庭の母等又は父子家庭の父の場合】
割合 | 月額 |
---|---|
A≧75%
| 5万円 |
75%>A≧50% | 3.75万円 |
50%>A≧25% | 2.5万円 |
25%>A>0% | 1.25万円 |
A=0% | 0円 |
5. 支給対象期間
- (1)支給対象者のトライアル雇用に係る雇入れの日から1か月単位で最長3か月間(以下「支給対象期間」)を対象として助成が行われる
- (2)支給対象期間中の各月の月額の合計額がまとめて1回で支給される
6.申請のスケジュール
- (1)原則3か月間のトライアル雇用を実施する
- (2)トライアル雇用開始日から2週間以内に、対象者を紹介したハローワークに実施計画書を提出する
- (3)常用雇用契約を締結する
- (4)トライアル雇用終了日の翌日から起算して2カ月以内に事業所を管轄するハローワークまたは労働局に支給申請書を提出する
※トライアル雇用の途中で常用雇用へ移行した場合や自己都合で離職した場合は支給申請期間が変わります。
7.まとめ
職業経験が少ないために常用雇用をためらっている方や、出産等により安定した仕事に就けない方は多くいます。
「トライアル雇用助成金 一般トライアルコース」は、そのような方々を積極的に雇用したいと考える事業主を支援する制度です。
助成金を受給しながら、新たな人材の確保を目指してみませんか。
出典:厚生労働省