令和4年10月1日、「男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組み」が創設されます。
女性のものというイメージが強かった育児休業が今、見直されています。
育児休業を積極的に取得する男性労働者が増えつつありますが、女性と比べると取得率はいまだに低い状態です。
本コラムでは、男性労働者の育児休業を促進する「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」を紹介します。
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」は、令和4年度から内容が改正される予定です。
最新情報は厚生労働省のホームページをご確認ください。
この記事の目次
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」とは
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」は、男性労働者の育児休業を促進する目的で作られた制度です。
男性労働者に育児休業・育児目的休暇を取得させた事業主に助成金が支払われます。
たとえば、中小企業で男性労働者が育児休業を取得した場合には72万円が支給されます。(取得者が1人目で生産性要件を満たした場合)
本制度を活用する場合には、男性が育児休業等を取得しやすい「職場風土作り」を事前に行う必要があります。
育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りとは、全労働者に対して周知されている全社的な取組のことです。
たとえば、育児目的休暇取得に関する研修の実施や、男性の育児休業制度の利用を促進するための資料配布等を指します。
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」の支援対象となる事業主の条件
以下(1)、(2)は「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」の支援対象となる事業主の主な条件です。
詳細は「支給要領」3ページでご確認ください。
- (1) 育児休業制度および育児のための短時間勤務制度について、対象労働者の休業等開始前に労働協約または就業規則に規定していること
- (2) 次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第12条第1項の規定にもとづく一般事業主行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局長に届け出ており、申請時において当該行動計画が有効なものであること
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」の支給要件
「育児目的休暇」と「育児休業」でそれぞれ支給要件が異なります。
「育児目的休暇」とは、育児・介護休業法第24条第1項に規定する、小学校に入学するまでの子(出生前6週間含む)について男女とも取得できる休暇制度のことです。
たとえば、「保育園の入園式などに出席するために休暇を取得する」等、育児に関する目的で利用できる休暇です。
以下(1)~(3)は共通の要件です。
- (1) 男性の労働者の休業等開始前に育児休業制度等を労働協約または就業規則に定めていること
- (2) 次世代育成支援対策推進法にもとづく一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出ていること
- (3) 対象の男性労働者を育児休業または育児目的休暇の取得日から支給申請日まで、雇用保険被保険者として継続して雇用していること
以下、「育児休業を取得した場合」と「育児目的休暇を取得した場合」のそれぞれの支給要件です。
育児休業を取得した場合 | 育児目的休暇を取得した場合 |
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ー
| 育児目的休暇制度を新たに導入したこと |
男性の労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りを行っていること | 男性の労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りを行っていること |
男性の労働者が、連続14日以上の育児休業を取得したこと(中小企業においては連続5日以上) | 男性の労働者が、合計8日以上の育児目的休暇を取得したこと(中小企業においては合計5日以上) |
詳細は「支給申請の手引き」3~7ページをご覧ください。
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」の助成額
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」は、「育児目的休暇」と「育児休業」でそれぞれ助成額が異なります。
「育児休業」は、男性労働者の育児休業取得者人数によって助成額が変動します。
「育児目的休暇」の申請は1事業主1回限りです。
どちらも助成額は生産性の向上が認められる場合や企業の規模によって変わるのでご注意ください。
生産性について:
「生産性要件」を満たした場合、助成金の支給額が増額されます。
「生産性要件」とは、助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が6%以上伸びているまたは、1%以上6%未満伸びていて、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることを指します。
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」のチェックリスト
「育児目的休暇」と「育児休業」では申請に必要な書類が異なりますのでご注意ください。
「育児休業」のチェックリスト
- (1) 支給申請書
- (2) 支給要件確認申立書
- (3) 労働協約、就業規則、労使協定
- (4) 男性労働者が育児休業を取得しやすい職場風土作りの取組について労働者に周知した日付が分かる書類
- (5) 対象の男性労働者の育児休業申出書
- (6) 対象の男性労働者の出勤簿またはタイムカードおよび賃金台帳等
- (7) 就業規則または労働条件通知書および企業カレンダー、さらにシフト制勤務の場合は勤務シフト表等
- (8) 母子手帳 (子の出生を証明する部分)、子の健康保険証、住民票等
- (9) 次世代法に基づく一般事業主行動計画策定届
- (10) 個別支援シート
- (11) 育児休業中や休業後の待遇や労働条件などを対象の男性労働者および上司に交付・提示した際のメールや書面等
- (12) 企業組織図
- (13) 提出を省略する書類についての確認書(過去に申請を行ったことのある事業主のみ必要)
- (14) 支払方法・受取人住所届および支払口座が確認できる通帳等の写し(初めて雇用関係助成金を申請する事業主のみ必要)
(10)~(12)は個別支援加算を申請するときのみ提出が必要になります。
(1)、(2)、(10)、(13)、(14)は所定の様式があります。
厚生省の公式サイトよりダウンロードしてください。
「育児目的休暇」のチェックリスト
- (1) 支給申請書
- (2) 支給要件確認申立書
- (3) 労働協約、就業規則、労使協定
- (4) 男性労働者が育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りの取組について労働者に周知した日付が分かる書類
- (5) 対象の男性労働者の育児目的休暇申出書および出勤簿またはタイムカード、賃金台帳等
- (6) 就業規則または労働条件通知書および企業カレンダー、さらにシフト制勤務の場合は勤務シフト表等
- (7) 母子手帳 (子の出生を証明する部分)、子の健康保険証、住民票等
- (8) 次世代法にもとづく一般事業主行動計画策定届
- (9) 提出を省略する書類についての確認書(育児休業と同時申請、または過去に申請を行ったことのある事業主のみ必要)
- (10) 支払方法・受取人住所届および支払口座が確認できる通帳等の写し(初めて雇用関係助成金を申請する事業主のみ必要)
(1)、(2)、(9)、(10)は所定の様式があります。
厚生省の公式サイトよりダウンロードしてください。
まとめ
令和4年4月1日、男性の育児休業取得に関する法律が改正されます。
この法改正にともない、事業主は男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備に率先して行うことになります。
このような環境づくりとして、「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」はぜひ取り入れたい制度です。
事業主のみなさまは、本制度の活用し、助成金を受給しながら子供を持つ男性が働きやすい環境づくりを目指してみませんか。
「両立支援等助成金 出生時両立支援コース」に関するよくある質問は、こちらからご覧になれます。
出典:厚生労働省